【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~


「まさか、おじい様が…?」

「不慮の事故だというが、ジジイが仕掛けたものだと言う者も多い。
確かに信憑性はあるな。夫が死ねば女手一つで二人の子供を育てなければならない。
楓が子供を連れて実家へ戻ってくることを見込んでいたと考えられないではない」

「……手中に収めて…手駒にする…か。おじい様らしい」

「そんなところだ。だが楓も春日の思惑を感じていたんだろう。
実家には帰らず水谷グループの会社の一つと協力し、夫が手がけていた仕事を生かし新会社を設立して女手一つで二人を育てた。
今では実力を認められ水谷の幹部だよ。大したもんだよな。
まさか聖までもが水谷に入って一族に協力するとは思わなかったが…あいつは武と仲が良いからな。
自分が水谷に入ることで聖良を一族から遠ざけたかったんだろう」

自分の尊敬する聖さんにそんな事情があったなどとは、考えた事もなかった。

おじい様の為にどれほどの血が流れたのか。

一族結婚の為にどれほど苦しめられ哀しんだ人がいるのか。

考えただけで身体が怒りで震えてくる。

「許せない…どこまで人を苦しめたら気が済むんだ」

「わかったか、廉。アイツは泉原寄りの水谷と浅井を手中に収めたいんだ。
水谷の血筋の聖良を養女として春日に入れ、浅井と結びつけることで春日に反旗を翻す者を潰したいんだ。
ジジイが欲しがっていたのは水谷の人質だ。だが聖良を手に入れることに失敗したせいで、百合子はお前の婚約者になった」