出逢った頃から君はどんなときも微笑んでいたね。

だけど僕は君が心から笑っていないことに気付いていたよ。

君に惹かれてゆく中で、いつか本物の笑顔を見たいとずっと思っていた。

君に毎朝勉強を教えるひと時に見る笑顔が本物であることが、心から嬉しかった。

二人の想いが通じてからは…

僕の前ではいつだって本物の笑顔だったね。

苦しみも悲しみも微笑みの裏に隠す君だけど

僕の前でだけは心からの涙を見せてくれた。

いつだって僕にだけは素顔の君でいてくれたね。

それなのに…

最後の最後に作り笑いをさせてしまった僕を許して欲しい。

「香織…ゴメン」

彼女を想って出てくるのは、懺悔の言葉ばかりだ。

護れなくてゴメン。

悲しませてゴメン。

怖がらせてゴメン。

辛い思いをさせてゴメン。

最後まで…強がらせて…ゴメン。