父さんは大きく溜息を吐き、ソファーに沈み込むように身体を預けると天を仰いだ。
母さんは手にしたコーヒーカップを取り落とした事にも気付かず僕を凝視している。
「二人で決めたのか?」
「…うん」
「なあ、廉。俺も雪も、廉には一族の者との結婚は望んでいないんだぞ。
お前が本当に好きだと思う娘と恋をして、いずれ結婚することが出来ればそれが一番良いと思っているんだ」
「僕は香織と別れても婚約なんかしない。
おじい様の思い通りになるつもりは無いよ。
パーティの席でハッキリと言うつもりだ」
「婚約を破棄するのなら別れる必要はないだろう?
それとも香織ちゃんが別れたいと言ったのか?」
「いや、そうじゃない。……でもこうするのが彼女にとって一番安全だ」
「後悔しないのか?」
「……僕が怖いのは彼女が再び危害を加えられることだ」
ギュッと拳を握り硬く瞳を閉じる。
瞼の裏に香織の笑顔が浮かんだ。
母さんは手にしたコーヒーカップを取り落とした事にも気付かず僕を凝視している。
「二人で決めたのか?」
「…うん」
「なあ、廉。俺も雪も、廉には一族の者との結婚は望んでいないんだぞ。
お前が本当に好きだと思う娘と恋をして、いずれ結婚することが出来ればそれが一番良いと思っているんだ」
「僕は香織と別れても婚約なんかしない。
おじい様の思い通りになるつもりは無いよ。
パーティの席でハッキリと言うつもりだ」
「婚約を破棄するのなら別れる必要はないだろう?
それとも香織ちゃんが別れたいと言ったのか?」
「いや、そうじゃない。……でもこうするのが彼女にとって一番安全だ」
「後悔しないのか?」
「……僕が怖いのは彼女が再び危害を加えられることだ」
ギュッと拳を握り硬く瞳を閉じる。
瞼の裏に香織の笑顔が浮かんだ。



