【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~

どんなに語っても語りつくせない想い。

だけど僕らの恋はやがて訪れる夜の終わりと共に最後の瞬間(とき)を迎える。

空が薄い光のベールを纏い、少しずつ明るさの層を増していく。

闇に希望の光が満ち、世界が目覚めを迎える時…

僕たちはどちらからとも無く身体を離し見詰め合った。

一晩中腕の中にあった温もりが遠のくと、急激に別れの実感が迫ってくる。

ほんの20cmの距離が、果てしなく遠く感じた。


「廉君、あたしね、廉君に恋して幸せだったよ」

「僕も…君に恋をして一生分の幸せをもらったよ」


誰よりも君が好きだから…


どんなに離れたところからでも君を護ってみせる…


君がずっと幸せに笑っていられるように…


ずっとずっと見守っていく。


「廉君…大好き―…」

「香織…誰よりも好きだよ―…」


言葉の代わりに僕らは最後のキスを交わす


誰よりも好きだから…


さようなら…