【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~

あたしの右手を握りそのまま頬へと押し当てる。

指の先まで冷たかった感覚が、ジンワリと温かなものへと変わっていった。

「…香織……独りにして…本当にゴメン」

「…廉…くん…」

廉君の優しさや後悔が重ねる手から伝わってくる。

その気持ちが苦しくて、痛くて…

あれだけ泣いて、もう涙も枯れたと思った涙腺が再び緩んだ。

「…辛い思いをさせたね。…僕のせいだ」

「ちが…」

恐怖からの涙ではなく、廉君が苦しむのが辛いのだと言いたかったけれど、しゃくり上げ乱れる呼吸に、思いを伝える言葉は声にならなかった。

「君に何かあったら…僕は…っ……」

唇を噛み締め言葉を詰まらせる廉君。

顔を伏せる彼の肩は震えていた。

頬に触れる右手に涙が伝っていく。

「護れなくて…ゴメン」

自分を責め、苦しげに嗚咽する彼を救いたくて

彼がそうしたように、左手で廉君の右手を引き寄せ、あたしの頬へと導くと…

そっと手のひらに口付けた。

お願い、苦しまないで…と。

声にならない思いが伝わるようにと願いを込めて…