「香織を助けて下さって…ありがとうございました」
「彼女は強かったよ。あいつらに向かって凛とした姿勢を貫いていた。
泣くこともせず、自分の事より刺された人を気遣っていた」
その情景が想像できるからこそ、胸が痛くて、後悔の念は更に強くなった。
うなだれる僕に、はぁ…と、一つ溜息をつくと、彼は香織を僕に手渡した。
香織は先ほどとは違う服を着ていて、その手には男物のハンカチが握られていた。
頬を伝った幾筋もの涙の後が痛々しく、ギュッと細い身体を抱きしめた。
「それは俺の彼女の服だが、余りにも酷い格好だったんで着るように言ったんだ。
返さなくていいから処分しておいてくれ」
「…本当に…ありがとうございました。
改めて御礼に伺います。お名前を…」
「その娘と同じことを言うんだな」
それだけ言うと、フッと僅かに笑みを見せ僕らに背中を向けた。
少し先に転がっているヘルメットを拾うと、自分のものらしいバイクへと向かって歩いて行く。
そういえば、一台だけ県外のナンバープレートのついたバイクがあったのを思い出した。
「彼女は強かったよ。あいつらに向かって凛とした姿勢を貫いていた。
泣くこともせず、自分の事より刺された人を気遣っていた」
その情景が想像できるからこそ、胸が痛くて、後悔の念は更に強くなった。
うなだれる僕に、はぁ…と、一つ溜息をつくと、彼は香織を僕に手渡した。
香織は先ほどとは違う服を着ていて、その手には男物のハンカチが握られていた。
頬を伝った幾筋もの涙の後が痛々しく、ギュッと細い身体を抱きしめた。
「それは俺の彼女の服だが、余りにも酷い格好だったんで着るように言ったんだ。
返さなくていいから処分しておいてくれ」
「…本当に…ありがとうございました。
改めて御礼に伺います。お名前を…」
「その娘と同じことを言うんだな」
それだけ言うと、フッと僅かに笑みを見せ僕らに背中を向けた。
少し先に転がっているヘルメットを拾うと、自分のものらしいバイクへと向かって歩いて行く。
そういえば、一台だけ県外のナンバープレートのついたバイクがあったのを思い出した。



