【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~



もうだめだと思った―…


もう二度と廉君に会うことは無いだろうと―…


だけど、次に来ると思った恐怖はいつまで経っても来なかった。


不思議に思い、そっと目を開き恐々と先ほどの男へと視線を移動する。


そこには…


長身のとても綺麗な男の人が、あたしに覆いかぶさっていた男を後ろから羽交い絞めにして、ナイフを取り上げている姿があった。


「てめぇ…どこまで腐りきってるんだ。
強盗の次は強姦か? 反吐が出るぜ」

切れ長の目を鋭く光らせると、男をボンネットから引きずり下ろす。

あたしを押さえつけていた男達はリーダーを失い動揺したのか、あたしを拘束していた手足を離し、引きずられていく男を追いかけて行った。

今のうちに逃げなくてはと、痛みに耐えフラフラしつつも、なんとかボンネットから滑り降りる。

転げ落ちたといったほうが正しかったかもしれないが、拘束されていた痺れで手足に力の入らないあたしには、それが限界だった。