まさか…そんな事…



何処かギクシャクとする雰囲気の中、僕はどうしても紀之さんの事を訊くことが出来ず…

香織は安田さんに送ってもらって別荘へ戻っていった。


このとき、ちゃんと話をしていれば

あるいは、別荘まで僕も一緒に送ってやっていれば

香織の不安に気付き、安心させてやることも出来たかもしれない。

そして何よりも、紀之さんの忠告に警戒し、この後彼女の身に待ち受ける出来事を、未然に防ぐことも出来たかも知れなかったのだ。


それをしなかったことを


この1時間後…


僕は酷く後悔した。