【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~

用意された部屋で廉君を待つ間も、慌しく動きまわる人々を窓から見下ろして、企業家として彼らの上に立つ廉君の責任の重さを改めて感じてた。

声を掛けられるまで、あたしは、きっとぼうっとしていたのだと思う。

安田さんがお茶を差出しながら心配そうに覗き込んだ。

「香織さん、疲れたでしょう?すみません。従業員が失礼をしませんでしたか? 
香織さんとお付き合いを始めてから、廉さんは誰の目から見ても明らかに変わりましたからね。
どんな素敵な女性だろうって、従業員も興味深々なんですよ。許してやってください」

「どんな噂が先行しているのか怖いですね。
あたしはどう見ても普通の高校生で、想像していらっしゃるような女の子じゃないですもの。
きっと皆さんガッカリしたんじゃないかしら?」

「そんなことはありませんよ。
あなたが廉さんをどれだけ変えたと思っているんですか?
香織さんが笑顔でいてくれることが彼にとって何よりの活力になるんですよ」