約束通りお弁当をもってホテルを訪れたのは、11時半ごろだった。
廉君は朝からトラブルが発生して、その処理に追われているらしく、あたしは安田さんにホテルの中を案内してもらうことになった。
着々とオープンの準備が整いつつある光景を目の当たりにしてドキドキする。
文化祭の実行委員の仕事などとは比にもならないキビキビとした動きで、段取り良く働く従業員の姿に圧倒された。
ホテルの館内を説明してもらいながら歩いていると、投げかけられる視線がやたら痛い。
その視線も様々で…
明らかに興味深げな視線でジロジロと見る人もいれば、視線を逸らしながらチラリと隠れ見る人もいる。
中には嫉妬交じりの嫌味をあからさまに聞こえるようにヒソヒソ話する女性社員。
ホテル内ですれ違う誰もが、あたしを特別視していた。



