【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~

浅井グループといえば、病院や学校、ホテルなどを全国規模で展開している誰もが知っている大企業だ。

廉君のお父さんが、学校の理事長と言う事は必然的に浅井グループの社長さんだと言う事くらいあたしでもわかる。

つまり廉君はこの学校だけでなく、浅井グループをいずれ継ぐ立場にある人だって言う事なのよね?

余り詳しいことを話してくれないから、普段の廉君の姿からそんなに現実味を感じなかったけれど、それって凄く大変なことだ。

私たちの高校は浅井グループの運営する学校の中でも最も古く、旧館は歴史的価値のある建物といわれるほどだ。

エスカレーター式の大学の卒業生からは各界に名を残す人物が多く生み出されている、国内でも有数の名門校でもある。

そんな学校を継ぐっていうだけでも眩暈がしそうなのに、グループ全体…なんて、一般庶民で高校生のあたしには、思考能力の許容量を超えていて、想像もつかない。

大体、廉君はいつもボサボサの寝癖に瓶底眼鏡でどちらかと言うとボーッとした雰囲気で、家業に携わってると聞いたときも、最初は想像も出来なかったもの。

だけど、彼が頑張っていることは良く分かっている。