【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~

廉君にその日お母さんと過ごしたことを話しながら、あたしが作ったデザートを部屋で食べるのが、夕食後の二人の過ごし方。

別荘へ来た初日に、部屋でデザートを食べてから、何となくそうして過ごすのが当たり前のような雰囲気になっている。

廉君と過ごせるのは、帰ってきてから眠るまでの数時間だけ。

疲れているだろうし、ゆっくりと休みたいんじゃないかと思うけど、廉君はその日にあったことを色々と聞きたがる。

どこへ行ったのか、何をしたのか、誰と会ったのか…。

レディ教育のことは以外は、包み隠さず全て話していると思う。

廉君は心配性だなぁ。

あたしが寂しい思いをしないか気遣ってくれて、本当に優しいなぁ。

そのときのあたしは、廉君が毎日の行動を細かく聞くことについて、その程度にしか思っていなかった。

だから、廉君と過ごせなくても十分楽しんでいると解ってもらえるように、彼の前では楽しかった出来事だけを、とにかく沢山話した。

実際に、宿題で解らないところがあるということ以外は、特に悩みもなく、あたしは凄く楽しい毎日を送っていたのだから。