「あ、いたいた!!!」 前方から母が走ってくる。 「彰(あきら)くんのこと呼んでいるから速く行ってっやって!」 母はそれだけを言い残して忙しく帰って行った。 「ごめん、俺行くわ…。」 背を向けて走り出そうとした彼の腕をつかんで引き留めた。