オレンジ



なんとか返事をしたものも、足も震えていて立ち上がれない。


手も震えているためまともに松葉杖を持つこともできない。


「俺、運ぶわ」


そんな声がしたとたん体が浮いた。


「………………」


「おお、頼むぞ、梶谷。」


「あたしもついてくからね!」


「ああ。…ってか、内田、どうした?」


そういって梶谷はあたしの顔を覗きこむ。


……どうしてこんなに顔との距離が近いんだ?


ちょっと固まってたら、気づいた。


あたし、梶谷にだっこ……されてる。


しかも、お姫様だっことかいうやつ………。


「おっ……」


「ん?」


「降ろして!!」