ごみ箱の中の缶と、竹内くんが捨てた缶が大きな音をたてたとき、


「それじゃ俺、先帰るわ」


竹内くんのお友達が、ひらひらと手を振って下足室に入って行った。


「は? おいっ、ちょ、待て…っ!」


慌てて友達を追いかける竹内くん。


「あっ、竹内くん…っ」


それを見て、わたしはのどの奥から絞り出したような小さい声でしか呼べなかった。


あーあ、また芽を出した
いくじなしな、わたし。

わたしと二人になるのが嫌なのかなって。
そんなこと、できれば頭をよぎらないでもらいたかったのですが。