「…雪がさ、」
「うん…?」
空を見たまま、ぽつりとこぼされた言葉に耳を傾ける。
竹内くんの声しか、聞こえなくて
竹内くんの姿しか、見えなくて
「このままずっと、止まなきゃいいのにな」
世界には、わたしたちしかいないんじゃないかな。
そう、思わされてしまう、幸せな夜。
「…どうして?」
空から視線を落として、ふっと笑って。
頭を掻いた竹内くん。
そんな竹内くんと、目があって。
逸らすのが、もったいないと思いませんか。
でも、あれ…?
わたしって、いつの間に空を見ずに竹内くんを見つめてたんだろう。

