【企画】そらごとスープ




いつの間にか、ホームに残っているのはわたしたちだけ。

暗い田舎道を走る赤い二両編成の電車が白い息を吐くみたい。

いつも、こんな電車に乗って帰ってるのかぁ…。


ぼーっと電車を眺めていると、乗車確認をする車掌さんと目が合って。

わたしは静かに首を横に振った。


その瞬間、もうあとには引けないのだと、覚悟しました。

丁寧に敬礼をする車掌さんに、応援されてる気分。


その瞬間、しゅーっとドアが閉まって、電車が左へ流れていきました。


「………」

「……」


本当の、本当に、二人。


誰もいないホームで、すこし離れて座る竹内くんが気になって、気になって仕方ない。


嘘をついちゃった…。

竹内くん、本当にごめんなさい。


竹内くんは、嘘ついたって知らないから謝れなくて、いっそう罪悪感が強まった。