─…プルルルッ…
電車の到着を知らせる音が、黒い空に吸い込まれる。
冬だというのに黒くて、黒くて。
黒に吸い込まれそうで、
うじうじしてるままになりそうで、
不安に飲まれそうでした。
だけど、手をあたためてくれるスープが電車の光に照らされた時、すこし心が切り替わった気がして。
いつもの電車が静かに止まる。
…この次は、30分後。
「芹ちゃんもこの電車?」
こうして隣で笑ってくれるだけで幸せなんです。
スープをくれたことなんて、空も飛べちゃうくらいなんです。
だけどわたし、
「…ううん。まだ…」
もっと、仲良くなれたらなって。
本当は、彩月ちゃんに言われる前から、こんな機会を望んでたんだって、今知りました。

