* * * * *


頬を撫でる風が、冷たくなってきました。


「─芹(せり)」

「うん?」


お弁当のブロッコリーをつつきながら、お友達の彩月(さつき)ちゃんが言う。


「竹内くんと一緒に帰ったりしないの?」

「…む、無理だよっ。恥ずかしくて喋れない…」


秋の告白は、まさかまさかの大成功。

だけど、ちょっぴり恥ずかしいまま、付き合いはじめて二週間。


「あたしなら、挨拶するためだけにクラスに行く方が恥ずかしいけどなー」


いまだに、挨拶をする関係から抜けられていません。

とりあえず毎日挨拶だけはしようと決めていたのだけど、それだけじゃ周りから見るとオカシイんだって。


わたしは、それだけで一日過ごせるくらいお腹いっぱいになるのに。