「そろそろどっか行けっつーの」
「もー。しょうがないなぁ。邪魔者は退散しますよー」
しっしっと片手で追い払う竹内くんを見てから、女の子はわたしに向かって笑って
「また今度、ゆっくり話してみたいね」
そう言った。
わたしは、黙ってうなずくことしかできなかったけれど、彼女は満足したように電車を待つ列に消えていきました。
「…ごめん、うるさくなかった?」
「全然っ…! いいひと、だね」
「根はイイヤツなんだけどなー」と言って笑う竹内くんに、わたしは笑顔を返せていたのかな。
きっと、あの子は本当にいい人で、優しい人。
でも、だからこそ、
そんないい人がそばにいるのに、
わたしが彼女でいいの?
って。
そんな卑屈なわたしが出てきてしまったの。

