『ありがとう』
そう伝えようと口を開いた時。
「あれ、竹内?」
竹内くんの隣に、かわいい女の子が立った。
わたしも見たことがある、同じ学年の子。
「おー」
「いつもこっちのホームじゃなくない?」
「あー、…送る、から。」
送る、の前にちらっとわたしの方に向いた竹内くんの視線を追って、女の子の視線が初めて、わたしを捉えた。
…ど、どうしよ。
とりあえず不器用に頭を下げたわたしに、女の子は優しく笑ってくれて。
「噂の芹ちゃんでしょ?かわいいなぁ」
想像してたのと違って、少しびっくり。
嫌味とか言われるのかなぁって思ってたから。
「そんなことない…です。」
優しくてかわいい、気さくな人。
なんだか、竹内くんと仲がいいのがわかる気がする。

