「お待たせ」
本当にすぐに戻ってきた竹内くんの手には、
「─ はい。芹ちゃんの」
コーンスープの缶が、二本。
目の前に差し出されたそのうちの一本。
「…も、もらっていいの……?」
どんなものよりも、嬉しい。
竹内くんとおそろいのスープの缶。
「…カイロには及ばないけど。」
へへっと笑った竹内くんの右手から、静かに缶を受け取った。
あったかいというより、むしろ熱い缶と、それに負けないくらい熱くなる胸。
どうしてかな、泣きたくなる。
好きな人の好きなものを、同じ時に共有する。
それが、こんなにしあわせだなんて知らなかったんです。

