駅までの15分の道のりは、長かったような短かったような。
ただ、わたしはずっと、
街灯が照らしたわたしの影の隣に見慣れない大きな影があることにどきどきして
息遣いまで伝わりそうな肩と肩の距離にどきどきして。
心臓が破裂しちゃうんじゃないかって。
わたしはもちろん、きっと竹内くんも緊張していて、あまり言葉を交わすことはないけれど。
しあわせで、あったかくて。
時折、わたしたちを追い越す時に茶化すお友達に竹内くんが「うるせーよ!」と言う。
友達がたくさんいて、人気者。
そんな人がわたしの彼氏だなんて。
ふわふわした夢の中で、竹内くん以外の人のことは少しも考えられませんでした。
夢なら、醒めないでほしい。
けれど、駅に着く頃にはすっかり冷えきってしまった指先が
これは現実なんだ
そう、教えてくれました。

