「そんなに急がなくてもよかったのに…」 「…でも、寒くなかった?」 膝に手を当てたまま顔を上げた竹内くんと目が合って。 ─ 息が、止まりそうになりました。 「…わ、わたしより竹内くんは、運動した後だから寒くない…?」 辛うじて出た声は、さっきよりも不自然だったはずだけれど 「え、俺? へーきへーき!」 竹内くんは、ニコッと目尻を上げて笑ってくれました。 そんな笑顔に、心臓が掴まれたみたいになったのは、言うまでもないのです。