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「少し早かったかな…。」
校門から見える位置にある時計台が指す時刻は、6時15分。
『─…じゃあ、6時半に校門…で。』
昼休みの終わり、照れくさそうに竹内くんはそう言った。
その声が、耳から離れなくて離れなくてもう。
午後の授業なんて頭に入らないし、放課後もそわそわして落ち着かなかったのです。
彩月ちゃんが丁寧に編み込みをしてくれた髪は、告白をしたときと同じで、すこし恥ずかしい。
でも、なんだかすごくあたたかくて幸せだったんです。
世の中の女の子もきっと、好きな人に会う前は、こんな気持ちなんだろうなぁって、思ってみたり。

