雨はとても激しくなり、周りの音も聞こえづらくなる程だった。 だから気付かなかった。 翔雨ではない誰かが、後ろから私に近づいてきていることに。 いきなりハンカチで鼻と口を塞がれ、苦しくなって息を吸い込む。 そのハンカチに催眠薬が仕込まれていたことに気付くのに、そう時間はかからなかった。 でも、時既に遅し。 薄れゆく視界の中で、私が最後に捉えたのは 平野悠介の姿だった。