~流華Side~

「おちついた?」
「…あぁ」

驚いた。あの太陽が人前で泣くなんて…

と言うのは、高校入学直後、生凪太陽なんて全然知らなかった頃(クラスは同じだったけど、話したこと無かったから…)に耳にした情報で、太陽は人前で泣いたことが無いらしい。それに負けず嫌いで喧嘩っ早い、んでもって超強い。(最後のほうはあんまり関係ない)

そんな太陽が私みたいな普通の女に涙を見せた?

…謎だ…


「ごめんな、流華。怒鳴っちまって…辛いのは流華だって同じなのに…」
「大丈夫。あの…さっきのだけど、ホントに同情じゃないからね」
「あぁ、分かってる」
「私…太陽がいないと寂しいよ…」

「…え?」
「…え?」

あ…あれ?何言ってんだろ、私…。まるで私、太陽のことが…それにさっきまでの言葉も…

「ご…ごめんっっ今の忘れて!!」
「…ヤーダ♪」

べーっと舌を出して無邪気に笑う太陽。

…可愛い

「やっ、ホントに忘れて!恥ずかしいからっっ」
「ヤーダ♪ゼッテー忘れねぇし♪」

そんな事を言いながらの屋上オニゴッコ。

コイツは運動神経ズバぬけてるから、私が追いつくはずも無い。

もうやめようかな…なんて思っていると、急に太陽が立ち止まってこちらを向く。
本気で走っていた私は太陽の腕の中へ見事ダイブ。

「んぎゃっっ」

女としてはあるまじき奇声を上げる。

「ックク…んぎゃって流華…あーおもしれぇ!!」
「ひっどーい!!元はといえば太陽が…っ」

ぎゅぅ…

太陽が腕の力を強める。


「ありがとな…流華」
「…何がよ…」

まだちょっとイジけている私。

「同情じゃないって、オレがいねぇと寂しいって言ってくれて」
「…まだ忘れてなかったの~っっ」

込み上げてきた嬉しさと恥ずかしさを隠すように大声を出す。

今、私きっと真っ赤だ…顔熱い…

「流華ってば顔真っ赤じゃん!!バーカ!!」

太陽が歯を見せて笑った。


…こんな笑い方もするんだ…