オレを引き取ってくれた母の妹。その家族。
皆優しかった。温かく迎えてくれた。きっと、本当の子供同然に愛してくれていただろう。
…なんて、そんな訳がない。結局は他人。あいつらがオレに抱いていたのはただの同情だ。
でも、それでも良かった。オレを愛してくれていなくても、傷ついて欲しくなかった。死んで欲しくなかった。
だからオレは、新しい家族に一線を引いた。愛したら、また傷つけてしまうから。
愛さない。愛さない。アイサナイ。
じゃあ、流華に抱くこの気持ちは何なんだ。
___流華も、死んでしまうのだろうか___
この、心臓を鷲掴みされたような苦しみは。
___オレが愛したから___
目の前で流華が死んでいる。
___オレノ所為デ、流華ガ死ンダ___
やめろ…
___流華ガ死ンダ___
やめてくれ…
___オレノ所為ダ...___
「やめろぉぉぉおおおっっっ」
「っは…」
目が覚めたのは朝5時。
服もシーツも汗で濡れていた。
寝る前にあんなことを考えた所為か。過去の夢を見るのは久しぶりだった。
こんな話、流華が聞いたらどう思うだろうか。
オレを遠ざけるか?それは好都合だ。
オレは自嘲気味に笑い、身支度を済ませ、いつもより早く学校へと歩いた。
屋上に着き、数分経って流華が来る。
二人で他愛のない話をして、チャイムが鳴ると流華が教室へ帰る。
休み時間や飯を食う時も屋上で二人。
また他愛のない話をして、流華が教室へ帰る。
過去のことには一切触れなかったし、流華も聞こうとはしなかった。
下校時間になったら屋上から流華が帰るのを見送り、その後オレも帰る。
寝たら悪夢を見る。そんな毎日が続いた。
その毎日が変わったのは、オレ等が出会ってから、2~3週間経った頃だった。
