「ただいまー」

返事はない。いつものことだ。

弟の流羽は生まれつき身体が弱くて、入退院を繰り返している。母さんは流羽の付き添い、父さんは単身赴任中でかれこれ一年以上は家にいない。

そのまま自室へ直行、ベッドに雪崩れ込む。

「…太陽…」

って、何であいつの名前が出てくんの!?
今日仲良くなったばっかじゃん!!
…いやいや、仲良くなってもいないっての!!

寂しかったのかな…私。
誰にもこの苦しみを話すことが出来なくて。

話したくても話せない。だってあれは私の所為だから。



“大丈夫、お前は悪くねぇよ”


__本当に私の所為じゃない?__


“一人で抱え込むな”


__全部話してもいい?__



涙が溢れ出る。 

私…今日は泣いてばかりだ。
 
「助けてよ…太陽…」

太陽は、私の欲しかった言葉をくれた。
貴方に会いたい。会って、また私を支えて欲しい。
こんなの、ただの我が儘だって解ってる。

それでも私は…


~太陽Side~


「はぁ~~~」

ベッドの上で盛大な溜息を吐く。

「何であんなこと言ったんだろ…オレ…」

あの言葉…


_無理に笑うんじゃねぇよ_

_一人で抱え込むな。大丈夫、お前は悪くねぇよ_


まるで自分に言い聞かせているようだった。


“他人にあまり干渉しない”


あの悲劇から決めたはずだ。

あいつはまるでオレのようだ。過去に囚われ、自分を責め続けている。


_オレがあいつに抱くのは、同情か?それとも…_


「…やめだ!!やめやめ!!考えるなんて性に合わねぇ」

なんかもう、色々めんどくさくなって、今日はもう寝ることにした。

流華なら、オレの罪を赦してくれるだろうか。

そんなことを考えながら、オレは眠りについた。