~流華 Side~
さっきの太陽の言葉で、今まで我慢してきたものが一気に弾けて、泣いて、泣いて、苦しいのも辛いのも全部…とは言えないけど、少しは涙で流れた。
私を抱きしめてくれた太陽の腕の中は、とても温かかった。
でも私には、誰かに優しくしてもらう権利なんか…
「蒼園…」
隣の席の男子から、小さなメモが渡された。送ってきたのは、
「…ゆず…」
柚花からだった。
メモの内容は
“流華へ
なんかちょっと嬉しそうだね(笑)
屋上で何かいい事あったでしょ?
気になるな~♪後で教えてね‼ 柚花”
す…鋭いッッ…
ばっとゆずを見てみると、ニヤニヤと笑うゆず。
あの天然バカのゆずに気づかれるなんて、なんたる屈辱…ッッ
…あれ、このセリフ2回目…?
てか、ゆずに気づかれているということは…
さっと京哉を見ると、バチっと目が合う。京哉はフっと笑って口パクで何かを伝えようとする。
なになに? “う・れ・し・そ・う・だ・ね・”…嬉しそうだね?
んな訳あるかッッ
こんなに心情読み取られて嬉しい訳がない!!
まぁ、屋上でのことは、少し嬉しかったりしたけど…
てか、私そんなに分かりやすい…?
ゆずにも京哉にも、太陽にだって心情バレバレ。
3人共読心術でも持ってんの?
「…園…蒼園!!!」
「はっ…はい!!」
テカりんの声に驚き、思わず立ち上がる。
「百面相してないで、ちゃんと俺の話を聞けぇ、蒼園」
「す…すいません」
えっ…百面相してた!?うっわ恥ずかしッ。
「まったく…じゃあ、蒼園、この問題を…」
キーン コーン カーン コーン
「…チャイムが鳴ったので今日の授業は終わりだ。俺はこれからハニーとデートだから。じゃな」
ハニーとデートて…いい歳(45歳)してなに言ってんだ、テカりんは…
授業は途中でやめるし、その理由がハニーとデート?マジで先生向いてないんじゃない?
