~太陽 Side~

「…で、現在に至る」

予想以上だった話に絶句した。
流華にそんな辛い過去があったなんて…。

「ごめんな…辛い事思い出させて…」
「ううん、大丈夫。元々私が勝手に話しだしたんだから。太陽は気にしないで」

流華はそう言って苦しそうに笑った。

「…笑うな」
「え?」

無理に笑う流華をぎゅっと抱きしめた。

「無理に笑うんじゃねぇよ…泣き顔が見られたくねぇなら見ねぇから。だから、一人で抱え込むな。大丈夫、お前は何も悪くねぇよ」

なぜそんなことをしたのか、なぜそんなことを言ったのか、自分でも分からない。
ただ、オレが支えてやらなきゃ、流華が崩れてしまう気がした。

「ふ…う…ひっく…あり…がと…太陽…っ」

そう言って流華は泣いた。

オレは、そんな流華を抱きしめてやることしかできなかった。





~流華 Side~

あれから数分泣いてしまった。

目が腫れぼったい。

てか、あんな奴に涙を見られるなんて、なんたる屈辱…ッッ。

「まぁまぁ、そんなに睨むなって、流華。」

むっかつく…最悪、最低、なんなのコイツ。

「せっかく、胸貸してやったのに」
「誰も借りたんなんて言ってないわよ!!」
「勝手に泣いたの流華の方じゃん」
「うっさい!!!」

ホント私ってば、なんてことをしてしまったのよ…

「まぁ、オレの胸でよければ、いつでも貸すからな~」
「も…もう借りないわよっっ」

そのまま急いで屋上を出る。
ガチャンッと大きな音を立て、後ろ手に扉を閉める。

「…期待させないでよ…バカタレ太陽…」

もう恋はしないって決めたんだから…。