見慣れた扉。
聞き慣れた音と空調。
そして調理する匂い。

全てが懐かしくて
少し後ろめたかった。


(よし、行こう)


行くと決め、やっと扉を開けた。

見慣れた階段から差し込む光。
そしてよく通る声。
パートさんの声だとすぐにわかると
なんだか少しホッとしてしまった。

あんなに渋っていた足は
スッスッお階段を登り始め
気づけば
パートさんに声をかけられていた。