海斗の姉貴が出て行った後…
少し空気が重くなった。
無言で、オレンジジュースの入ってグラスをおいて海斗は、さっき姉貴がいた窓の縁に座って外を見ている。
……………
「悪かったな…嫌な思いさして…」
外の方を見たまま海斗が言う。
「…別にいいよ!大丈夫」
「俺ん家…こんな感じ!姉貴は高校行かないでガソリンスタンドで働いてる…親は……」
言いかけて少し黙る。
「話したくなかったら…無理にいいよ!」
「……いやっ!ずっと理解ってか、誰かに話したかった…」
俺の顔をジッと見て
「…ゆうだったら…いいかなって思って!」
俺なら?……
うんと海斗は俺の目を見て頷いた。
「俺の親は……」
それから海斗は淡々と話した…
本当は…凄く辛いくせに淡々と……
幼児期の親の離婚…母親からの幼児虐待…親の事での学校のいじめ…思春期の親の男関係…
現在…母親が男を、とっかえひっかえして男の家を転々としてる事……
辛い事のオンパレードだ……
よく…それで死にたく………
あっ!………

