『俺は捜査から外されて何の情報も得られませんから、自分で調べた情報はこのファイルに全てあります。
お願いします、力を貸して下さい』
俺は頭を下げた。
そのくらいで一つの冤罪がなくなるなら安いものだ。
……、いや違うな。
アイツが、友人が帰って来れるならなんだってしてやる。
「だってよ、シズ」
彼は拒絶されていた時とは明らかに違う声色でコーヒーを持った彼女に尋ねていた。
「うん」
「うんじゃねぇだろ、まったく」
俺を一瞥した後あからさまにため息を吐いて、俺に背中を向けた。
更に向こうでなにやらブツブツ言っているが聞き取れない。
「はい、コーヒー」
『あ、ありがとう』
ゴクリ。
なんだこれ、めちゃくちゃウマい。
今まで飲んだあのコーヒーはコーヒーじゃなかったのか?
いや、これがコーヒーじゃないのか?
「いいよ」
『え?』
今、いいって言った?
でも今のは…
「ったく、仕方ないなぁ」
「アデル」
「わかったわかった、
もし断ったら次にこいつ何するかが心配なんだろ?」
「ん」
『え?え!』
「大丈夫かお前、ニワトリみたいな動きしてるぞ頭おかしくなったんじゃないのか?」
彼が笑って、いや嘲笑っている。
とにかく受けてくれるんだ。
よかった。
『ありがとうございますっ』



