「おいシズ、そいつはもう帰る」
「そうなの?でもコーヒー一杯ぐらいならいいでしょ?アデルは要る?」
「……、いる」
この2人、どっちが上なんだろう。
シズが彼を上手く扱っているように見える、でもさっきはアデルがシズを追いかけ回して遊んでいたし。
謎だ。
俺はシズのコーヒーを飲むためという理由でそばにある椅子を引き寄せて座る。
あとでお礼を言わなきゃな。
『1か月前、俺の同僚が警察官を2人殺して捕まりました』
「おい、なにしてる」
『動機は麻薬に手を出したことがその2人にバレて、つい弾みで殺したそうです』
「お前の話は聞かない」
『でもそれは絶対に有り得ません』
「……、?」
『彼が麻薬に手を出すことは絶対にありません、彼はそのせいで最愛の恋人を亡くしかけました。
だからそれは考えられません。
それに犯行推定時刻に、
俺は彼と一緒でした』
「は?」
『いくら主張しても上は聞き入れてくれずにそのまま、……彼はいま投獄されています』
悲嘆に暮れたあの日から必死になって彼の無実を証明しようと躍起になった。
それなのに、どうしても
何も出てこなかった。



