シュプレヒコール!




アデルはそのままコーヒーを一口飲んだ後、何事もなく話を続けた。


「特捜のチトセとグランを知らない奴なんていないだろ?

検挙率No.1の特捜エース。
2人の前じゃマフィアのボスも腰を抜かす、とかなんとか?

それに1か月前からグランは長期休暇でチトセが捜査の第一線から外された、かなり腑に落ちない展開だ。


まぁ、だいたい…想像していた通りだな」


それだけの情報で、想像した通り?
推察力が並じゃない。

やっぱり彼は、彼なんだ。







「それに、シズルも奴のことを気にしていたからな」

『は?』

シズルが?


「1か月前にアイツが、

“いつもピリピリしている人がいなかった、仕事放り出してどこに行ったんだか、相棒も見えないし”

とか言ってたからなぁ」


あいつ人の名前覚えないから誰のこと言ってんのかわかんなかった、とボヤくアデルを尻目に俺は回顧する。



おかしいな。

俺はシズルとはココで初めて会ったはずだけど。





「…あ、違う違う。

シズルのこと知らないのは当たり前だ。
アイツは特捜の下っ端から捜査資料のまとめを頼まれて、よく特捜に顔出してたからその時だろ」