正義のヒーロー



家の中の移動もお風呂も、すべてに一苦労。



やっと落ち着いて再び部屋に戻ったとき、気力もなくベッドに倒れ込んだ。





どうしてあたしが、こんな思いしなきゃいけないの?

あたしなんか悪いことした?

試合、勝てそうだったのに。

あと数分で勝てたのに。




いったん考えだすと、もう止まらなくなる。





自分に対する苛立ちと悔しささ、そしてショックで涙が頬を伝った。





こんなとき、ふとゆったんの顔が浮かぶ。




“俺はせったんのヒーローだからな♪”



“俺が手拭いになってやる♪”





そう言ってくれたのに。


つらい時、悲しい時、苦しい時、いつもゆったんが叱って励ましてくれた。

支えてくれてたけど、今のあたしにそんな存在の人はいない。



すごく寂しくて悲しくて、涙は一向に止まらなかった。