正義のヒーロー



思いきり床に叩きつけられた手のひらが、痛い。

壁にぶつけた肩と頭が、痛い。

突如落下した体が、痛い。



あたしの右の足元に被さるようにして倒れていた相手選手も、体を痛そうにして、立ち上がった。



あたしも同じように立ち上がろうとした。



でも…。

立ち上がれない。
力が入らない。

普段バスケで転ぶときと同じ。
ただ、全身に鈍い痛みがあるだけ。


なのに、立てない…。



あんなに歓声が上がっていた会場なのに、あたしたちのコートだけが、静まり返っているように感じた。



無理矢理立ち上がろうとしたとき、急に右足が痛んで、顔が歪む。