正義のヒーロー


「やめてほしいみたいなこと言っちゃったし、俺って最低だよな。」





ゆったんはまた、溜め息をついた。






「最低だなんて思わないよ。ゆったんが言ってることは、間違ってないと思う。」






「でも、これでタケモンがやめることになったら、俺のせいだろ?」







「…それは違うよ。」







「でも、俺が黙ってれば、タケモンは顧問にもバレずに済んだかもしれない。」




「そんなわけないよ。赤点は、隠しきれないんじゃない?それに、あそこでゆったんまで一緒に隠してたら、それこそダメだと思うな。大切だから、叱ってあげれるんでしょ?」






「…」





「タケモンは、部活やめないと思うよ?ゆったんにやめろ的なこと言われたのは、多少はショックだったかもしれないけど…。でもちゃんと話せば大丈夫だよ!タケモンも、ゆったんたちとバスケするの楽しいって思ってると思うしね♪」




「そうかな…。」




「きっとそうだよ♪」




あたしが明るくそう言うと、ケータイの向こう側から、ゆったんの笑ったような声が聞こえた。