正義のヒーロー



やっと部活ができるともなって、大会も近づき、より活気で出てきた時だった。




練習前の体育館。
あたしたちの隣のコートの雰囲気が、とても険悪になっていることに気付いた。





「ふざけんなよ!なんで隠してたんだよ。」






「勉強してなかったなんて言えねぇじゃん?」





怒りを堪えたような声と、呑気な声がわずかに耳に届く。






「勉強してないとかバカじゃねぇの?!部活やめることになったらどうすんだよ。」








「いやいや、どうせやめさせられねぇだろ!結太は心配しすぎだって!」




ゆったん…。





あたしは今すぐにでも、二人の間に割って入りたかった。




喧嘩になる前に、誰か止めて…。




そう願うことしかできなかった。





「やめさせられなければいいのかよ…。ちげぇだろ?部内ルールで言われたんだから頑張ろうぜ。それでお前になんの処分もなかったら、必死で勉強したこっちがバカみたいじゃねぇか!」






「じゃあなんだよ。お前は俺に約束通り部活やめろって言いたいのか?」






二人の雰囲気が更に危なくなってきているようだった。