正義のヒーロー



その帰り道、ケータイが鳴った。




優芽からの電話だった。
本当は出たくないけど、出ないときっと心配させてしまう。
そう思ったあたしは、電話をとることにした。






「もしもし。」





涙を悟られないように、なるべくトーンを上げた。




「聖愛、大丈夫だった?あたしのせいで、本当にごめんね。」







「ううん。全然大丈夫だよ!」




優芽の声がいつもと違ってとても弱々しくて、さらにトーンを上げた。





「嘘だ…。」





「え…?」




「聖愛、声震えてる。本当にごめん!あたしのせいだよね、ごめん…。でも泣かないで。あたしのせいで聖愛が泣くなんて…。ごめんね。」





「泣いてなんかないよ?大丈夫だから。」





あたしは明るく言ったつもりだけど、優芽からの謝罪を聞くと、涙が溢れた。





「ごめんね。あたしがこんなこと言うのは可笑しいけど…。あんまり泣かないでね。」




「うん。ありがとね。」




あたしたちは、電話を切った。