正義のヒーロー




職員室を出て、一人ポツンと下駄箱に向かった。





「聖愛…?」






あたしを呼ぶ声に振り向くと、そこにいたのは、准弥だった。









「准弥…。」







あたしは慌てて、こぼれかけた涙を拭った。








「聖愛、なんで泣いてるの?」





「ううん、泣いてないよ?」





微笑んでみたけど、准弥には一瞬でバレた。




「嘘つくなよ…。聖愛が泣いてると、俺……」




“ほっとけねぇよ…”
小声で言った准弥の声は聞こえてたけど、聞こえないフリをして、あたしはできるだけ笑った。