正義のヒーロー



ーガラガラ



開いた扉に目をやると、そこにいたのはゆったんだった。






「ちゃーす」






「おはよ。どしたの?早いじゃん。」








「俺は勉強しようと思って。せったんも早くね?」










「あたしは早起きしちゃったからさ。」






ゆったんは、扉を閉めて、教室に入ってきた。





「せったん、どした?」




「え?なにが?」





ゆったんの突然な質問、あたしには意味がわからなかった。







「彼氏となんかあった?」




ゆったんは優しく問いかけてきた。






「あぁ…。あたし、別れたんだ。なんでわかったの?」





「昨日返信来なかったし、朝早いし。だから聞いてみた。」




次は、ニカッと笑った。




「やっぱりゆったんは、あたしだけの正義のヒーローだね♪」




あたしも笑って見せた。


これは、前から言ってること。
いつも話しを聞いてくれて、優しく励まして少し叱って。
そうやって元気付けてくれるゆったん。


あたしは“あたしだけの正義のヒーロー♪”なんて、何度も言ってた。




その度にゆったんは“せったんだけのヒーローだな”って悪戯に笑うんだ。