「満那、返しに行こうよ!」
「ん、いいよ♪」
満那とゆったんのクラスに向かうと、ちょうど教室から出てきたゆったんにバッタリ会った。
「あ、ゆったん!これ、ありがとう。」
偉そうにするゆったんを軽く睨むようにして、教科書を差し出した。
ゆったんが楽しそうにニシシと笑ったのにつられて、あたしも微笑んだ。
「もう忘れんなよ!」
尚もニシシと笑うゆったんにベーっと舌をだして、教室に戻った。
「聖愛って、原井くんとほんと仲良いよね!」
「そう?部活一緒だからかな?」
「…てか、疑うわけじゃないんだけど。准弥くんより原井くんの方が好き?」
「え?」
思ってもみない質問だった。
突然過ぎて…。
でも、疑問に思って当たり前なのかもしれない。
あたしは黙って、少し考えてから答えた。
「仲が良いのは、ゆったんかな。」
満那は、『そっか。』としか答えなかったけど、あたしは本当にずるい人間だ。
満那は、どっちと仲が良いかなんて聞いてないのに。
自分も准弥も満那も誤魔化してる。
チャイムが鳴って、席に戻ったけど、座ると同時くらいに、ため息がでた。
