正義のヒーロー



ゆったんの彼女であるコトにこうもストレートに聞かれると、ぎこちなくなってしまう。




「コト、ゆったんのことかっこいいって言ってたし、それで付き合えるっていいね♪」





「コト実は、ゆうくんは聖愛先輩のこと好きなんじゃないかと思ってたんで、そうじゃなくてよかったです♪」






「そっか。じゃあ、あたし帰るね!」






「さようなら。」






迎えに来てくれた車に乗り込む。


コトの言葉ひとつひとつにトゲがあるように感じるのは、あたしの思い過ごしなのだろうか。




なんでだろう。


部活の後輩であるコトと、大事な存在である友達のゆったんの幸せなのに、あたしは喜べない。



あたしは薄情だ。


人の幸せを喜んであげることができないんだ。