席についてケーキを頬張り始めたしるふと

そのむかいで静かに紅茶をすする海斗を微笑ましく思いながら

秋穂は途中だった茶葉の補充を再開する

時々しるふの声が耳に入る

だから海斗は女心が分からないって言ってるのー。第一さー

ちょっと不満げな彼女の声

あー、はいはい。わかったから。これでも一応直す努力はしてるよ。

少し面倒くさそうなあしらうような海斗の言葉

どこがよ。実の結ばない努力なんて意味ないわ。ちゃんと結果を見せてよ。

見せてるじゃないか。これでも3年前よりは理解したと自負してる。

うっそ。私の心身的疲労は変わってない。むしろ増加中?

それならこっちもしるふの無自覚に振り回されて消費される体力は増加中

うそだー

聞こえてきたやりとりに思わずふ、と笑い声が漏れて秋穂は慌てて後ろを向く

まあ、きっと二人の世界に入っているから秋穂が笑おうが

ばかにしてようが聞こえてなんていないんだろうけど

この二人がどう落ち着いて

どんなふうに歩んでいくのを見届けるまでこのお店を続けてもいいかな

そんな風に思いながら秋穂は一人静かに微笑んだ









番外編 海斗のいる休日  ー完ー