「ちなみに、その二週間前の電話では何をお話になったんでしょうか」

「ん、生きてる?て聞いて、とりあえず呼吸はしてるけど、今すぐにでも冬眠したいって言われて、それから…たわいもない話を少々」

冬眠したいってなんですか

寝たいってことよ

…はあ

「で、何分くらい電話したんですか」

「一時間くらいかな」

「で、それ以降何も話していないと」

「引っ張るねー」

ブラウンの髪がしるふの苦笑に合わせて、さらりと肩を滑り落ちる

「だって未だに理解できないことばっかりなんですもん、お二人って」

ここに来たころは、本当に息の合った二人で

その連携のとれたプレーにいつもいつもついて行くのがやっとだった

その二人が実はプライベートでもパートナー同士であると知ったのは、黒崎病院に少し慣れてきたころ

納得と驚きと

でも、とてもお似合いだと思った

「園田先生」

莉彩がふと口を開く

「二人のことはね、心配するだけ無駄よ」

黒崎先生の好きなものは、しるふで

しるふの好きなものは、黒崎先生と甘いものだから

それが直接口に出されることは、ほとんどないけれども