4か月ぶりに足を踏み入れる黒崎病院は、寸分たがわず

けれど帰ってきてそうそう医院長室に向かうなどと誰が想像しただろう

何時だって平凡に平和に何事もなく、時はどうして過ぎないものだろうか

もう放っておいてほしい

心底そう思ってもこうして立ち向かっていこうと思えるのは、

隣を彼女が歩いてくれるからだろう

「お久しぶりです、矢吹さん」

3階に止まったエレベーターの先

秘書の矢吹が待っていてくれた

「お久しぶりです」

お元気そうで

海斗に会釈した後、無言でけれど穏やかな瞳でしるふにも会釈してくれる

「宮本社長なのですが、なかなかこちらの話を聞いては下さらないようで」

医院長も少々癖穎気味で

広い廊下を歩きながら矢吹が説明してくれる

「まあ、そんなことだろうと」

あそこは目に余るほど過保護だったから

その過保護の元どうすれば出張先の海斗のもとへ行くことができるのか

果たして疑問には思はないのだろうか