ソファに腰かけてクッションを抱きしめながらしるふが感嘆したように見上げてくる

「当たり前だろう」

目の前にいる真っ白な花を

後生大切に咲かせ続けていこうと誓ったこの花を

たとえどんな権力があろうと土足で踏みつぶされるいわれはない

ましてや土足で踏み込んでこようとしている輩を放置しておくつもりはない

たとえ黒崎病院の経営に不利益が出るとしても、それだけは譲れない

「じゃあ、私も行くよ」

「は?」

「だから、私も行く」

「……しるふ、さっき頭のどこ打った」

「後頭部。でも正気だってば。からかわないで」

ポンポンと形の崩れてしまったクッションを叩いて整える

「さっき言ったこと忘れた?私は海斗と一緒に戦うの」

そう決めたの

だから何と言われても一緒に行くからね

一方的に近い宣言に、言葉を選んでから息を吸う

「…海斗、私もうそこまで子供じゃないよ」

口を開きかけた海斗を遮って見つめてくるしるふの瞳は、海斗が一度だって勝てたことない

凛とした真っ直ぐな瞳