「俺も研修の後片付けに追われて電話に気がついた時には、かなり遅い時間だったんだけど」

数件入っていた電話にただならぬものを感じて少しマナー違反な時間にリダイヤルした

そこで聞かされた宮本社長&令嬢の応酬

そしてそこにいたしるふの存在

思わず二度確認するほどなぜしるふがそこに居なければならなかったのかがわからない

「じゃあ、昨日の電話は」

「一人で泣いてるんじゃないかと思って」

それかかなり落ち込んでるか、荒れているか

見事にコール音が続くだけでしるふが応答することはなかったが

「さすがに親父の手前、いらないことを詮索されはしなかったようだし、手を出されたわけでもないようだったけど」

ああ、きっとほとんどの会話が海斗に伝わっているんだろうな

とはいえ、全く無傷というわけではないだろうから

ならば今から新幹線に飛び乗ろうかと思った矢先

終電は2時間ほど前に発車していることに気がついて、一瞬苛立った

「最終的に医局長に連絡したら、飯田と帰ったって言うから」

まあ、明日の朝一でもいいかと

「で、今に至る、と」

「そう」